経済情勢

令和6年6月20日

1.南カリフォルニア経済概況

南カリフォルニアの主要産業は不動産/リース、航空宇宙、専門職/ビジネスサービス、製造、コンテンツ・エンターテインメント、情報(映画産業含む)など従来の産業に加え、近年は、バイオ医学技術、情報技術、環境技術産業などの新しい産業も成長してきています。ロサンゼルス港とロングビーチ港は合わせて全米最大の海上貨物取扱量を誇り、国際物流の重要な拠点となっています。南カリフォルニア州の経済は概ね好調に推移していましたが、2020年新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が停止し、ビジネス業は大きな影響を受けました。同年5月にはロサンゼルス郡の失業率は約21%にも上りましたが、2021年以降は大きく回復しています。コロナ禍を受けて住宅金利が低下したこと等を主な要因として南カリフォルニア全域で住宅価格が大幅に上昇しています。またロサンゼルス郡内では鉄道をはじめとする公共交通機関(メトロ)のプロジェクトがいくつか進んでおり、ロサンゼルス郡や市当局は慢性化する交通渋滞の緩和に努めています。また、近年世界的な注目を浴びている気候変動対策についてカリフォルニア州は全米で先進的な取り組みをいち早く進め、2030年までに60%、2045年までに100%の州内電力を再生可能エネルギーとする法案が可決した他、ロサンゼルス市では2035年までに電力供給で100 %の脱炭素を目指すこと宣言、ロサンゼルス港及びロングビーチ港でも2030年までに港湾機械、2035年までにトラックをゼロエミッション化することを決定しており、取り組みを加速させています。

2.アリゾナ州経済概況

アリゾナ州は従来5C(Copper、 Cattle、 Cotton、 Citrus、 Climate)に代表される州と言われ、鉱業や農業を主要産業としていました。しかし近年では、豊富で廉価な土地や住居費に魅せられ企業や人が州内に移転する動きが見られると同時に、主要産業もハイテク・半導体、航空宇宙、環境、バイオ研究などの新しい産業が発展してきており、州経済の中心は第1次産業から、第2次、第3次産業へと移りつつあります。また、都市部以外でもグランド・キャニオンやセドナを中心とした観光業の発展も目覚ましく、日本を含む多くの海外観光客が毎年訪れます。全米でもトップクラスの経済成長を誇る州都フェニックス市を中心として近年の経済基盤は強く、州財政も安定していたことから、2020年新型コロナウイルス感染拡大による経済停滞は限定的なものにとどまったと言われています。また、成長著しい半導体事業において最大手の米国のインテル及び台湾のTSMCが相次いでアリゾナ州に新たな工場設置を決定するなど最先端技術に対する生産能力強化が進んでいます。

3.主な経済指標 (2022年)

 

南カリフォルニア

カリフォルニア州

アリゾナ州

全米

人口

約2,255万人   

注1

約3,902万人

約735万人

約3億3,328万人

総生産

(実質)1兆4,479億ドル

注2

(名目)3兆5,981億ドル  
(実質)2兆8,747億ドル 注2

(名目)4,589億ドル

(名目)25兆4,627億ドル

年間失業率

5.4%

注3

4.6%

3.6%

3.5%

年間世帯所得

65,569ドル

注4

77,339ドル

56,667ドル

65,423ドル


 

出典:米国商務省経済統計局、労働省労働統計局、米国国勢調査局等
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​注1&2: 当館所轄9郡(ロサンゼルス郡、インペリアル郡、サンタバーバラ郡、サンディエゴ郡、サンルイス・オビスポ郡、オレンジ郡、ベンチュラ郡、サンバナディーノ郡、リバーサイド郡)の数値
注3&4&5: ロサンゼルス大都市圏(ロサンゼルス/ロングビーチ/グレンデール)の数値
カリフォルニア州全域の実質総生産、南カリフォルニアの実質総生産及び年間世帯所得は2021年の数値