日系人社会

令和7年5月22日

1.日系人社会の現状

■変遷する日系人社会

 日系人とは、一般的に、日本人を祖先に持つ人のことを指します。日本から米国への移民は、19世紀末からハワイのサトウキビ畑の労働者として本格的に始まり、その後、高賃金を求めて米国本土(カリフォルニア)への移民が増加しました。この第二次世界大戦以前の移民世代を「一世」、その子供の世代を「二世」、孫の世代を「三世」と呼び、それに対して、戦後の移民については「新一世」といった呼び方をすることがあります。三世以降は非日系人との結婚も多くなってきており、いまや全米の日系人人口の半数以上が日系人以外のルーツも持つミックスルーツとなっています。(日系人に関する詳しい情報は全米日系人博物館ホームページ(http://www.janm.org/jpn/main_jp.html)へ)
 南カリフォルニア地域は全米でも最大の日系コミュニティがあり、各県人会、県人会協議会、南加日系商工会議所、日米文化会館、全米日系人博物館、日系米国人市民連盟(参考1)、米日カウンシル(参考2)など、極めて多くの日系団体が存在しています。若い世代の日系人の中には、こうした団体には属さずコミュニティ活動に関心を持たない人もいる一方、日本食や漫画、アニメ等の日本文化への関心や日本へ旅行した経験等を通じて、自らの日系人としてのルーツを意識する四世、五世、そして新二世世代も出てきています。また、当館が管轄するアリゾナ州にも、一定数の日系人がおり、日本文化の普及を含め、日本と現地社会との懸け橋として活躍しています。
日系人社会が変遷する中、日系人の歴史や文化の継承、及び日系コミュニティの維持・発展のためにも、若い世代に日系人としてのアイデンティティを意識してもらうようにしていくことが今後の課題となっています。
 
(参考1)日系米国人市民連盟(JACL:Japanese American Citizens League)
1929年に設立された、全米最大・最古のアジア系米国人団体。日系人の文化的遺産・価値を保護しつつ、全ての米国人の人権・市民権の擁護及び全ての人々に対する社会的不公正の撲滅を目指して活動している。
 
(参考2)米日カウンシル(U.S.-Japan Council)
2008年、日米関係に貢献する国際的リーダー育成と交流を目的として、故アイリーン・ヒラノ・イノウエ元会長等の日系人が中心となって設立。東日本大震災の直後から、日米の次世代リーダー育成プログラム「トモダチ・イニシアティブ」を実施。
 

■日系人人口

 2022年のアメリカン・コミュニティ・サーベイによると、全米の日系人人口は、161万人(ミックスルーツ含む)となっています。このうち、カリフォルニア州の日系人人口は、46万人で、全米で最も日系人数が多い州です、日系人人口の多い州は、以下のとおり。
  日系人人口(ミックスルーツ含む)
1.カリフォルニア州
(うち南カリフォルニア)
462,708人
(約28.5万人)
2.ハワイ州 312,813人
3.ワシントン州 87,906人
4.テキサス州 72,015人
5.ニューヨーク州 60,755人
6.オレゴン州 38,962人
7.フロリダ州 38,527人
8.コロラド州 33,665人
9.イリノイ州 33,337人
10.バージニア州 31,390人

 また、人種別構成比は、2020年度米国勢調査によると、南カリフォルニアでは、ヒスパニック44.5%、白人31.9%、アジア系13.2%(アジア系のうち中国系24.6% 韓国系12.3% 日系5.2%)、アフリカ系5.7%他となっており、日系人の若い世代は、他のアジア系アメリカ人との連携を深め、いわゆる「AAPI (Asian American and Pacific Islander(アジア系米国人と太平洋諸島民))」としてのアイデンティティを持つ方もいます。
 

■米国社会で活躍する日系人

 俳優のジョージ・タケイ氏やABC7ニュース番組のアンカーを務めるデイビッド・オノ氏、米日カウンシル共同理事長のサチ・ハマイ氏(元ロサンゼルス郡CEO)など、ビジネス、政治、法曹、農業、学問、エンターテインメント等、米国社会の様々な分野で日系人が活躍しています。今後も、政財界を中心に、若手日系人の活躍が拡がることが期待されています。

2.日米関係における日系人と日本人

■相互理解と関係強化

 日系人コミュニティは過渡期を迎えています。かつて一世及び二世、三世の世代が担っていたコミュニティの指導的役割は、四世以降の世代に受け継がれつつあります。
こうした若い世代の日系人は、米国社会に根を下ろし、様々な分野の第一線で活躍している反面、祖先の母国である日本に強い絆を感じる人が少なくなってきていることも指摘されています。翻って、日本人も、米国の日系人の歴史について深い知識を持つ人は少ないのが現状です。
 そのような中、日本と米国という異なる国の国民でありながら同じ祖先を持つ日本人と日系人は、互いに理解し信頼しあえる、かけがえのない友人となってほしいと考えます。新しい世代の日系人と日本人とが交流を深め、互いを信頼しあい、協力を図っていくことにより、将来の日米関係の揺るぎないパイプを築くことが出来るとの考えの下、外務省、在ロサンゼルス総領事館は、南カリフォルニア日系企業協会(JBA)など日本側の関係団体や、全米日系人博物館などの米国側の日系人団体などとも協力して、日系人と日本人の関係強化にも取り組んでいます。

これまで実施された主なプログラムは以下のとおりです。
  • 在米日系人リーダー招へいプログラム
    (外務省が主催し、米日カウンシル協力のもと、全米の日系人リーダー約10名を日本に招へいしています)
  • 在米日系人リーダーと関係在米公館長との会合
    (在米公館長と日系人リーダーの代表が一同に会し、共通の関心事項について意見交換を行っています)
  • 日系次世代リーダー人材育成プログラム
    (日系コミュニティの次世代リーダーと懇親会やセミナー等の機会を設け、次世代の育成を支援しています)

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