「アフター杉原:小辻節三のユダヤ難民救済」(於:寛容博物館)
平成31年4月8日
3月27日、在ロサンゼルス総領事館は、サイモン・ウィーゼンタール・センターと日米文化会館との共催により、第二次世界大戦中に杉原千畝氏が発行した通過ビザにて日本に上陸したユダヤ難民たちを救済したヘブライ語学者・小辻節三氏の功績を紹介するイベントを、寛容博物館にて開催しました。
プログラムの冒頭では、リーベ・ゲフト寛容博物館館長が開会の挨拶を行い、ダレン・モオコ日米文化会館暫定館長、千葉総領事の挨拶に続いて、サイモン・ウィーゼンタール・センターのラビ・アブラハム・クーパー副所長が、ゲストスピーカーの広瀬佳司教授と山田純大氏を紹介しました。
広瀬教授は、ノートルダム清心女子大学の英米文学教授、イディッシュ語翻訳者であり、日本ユダヤ系作家研究会会長も務められています。山田氏は、1997年にNHK連続テレビ小説『あぐり』に出演されて以来、数々の有名TVドラマ、映画や舞台で俳優として活躍され、2013年には、『命のビザを繋いだ男—小辻節三とユダヤ難民(NHK出版)』を出版されています。
今回のイベントでは、広瀬教授は、杉原千畝氏と小辻節三氏の功績に関する歴史的背景や、神戸近郊に集中していた日本国内のユダヤ系コミュニティについて、また、ナチスの迫害を逃れて日本へやってきたユダヤ難民の通過ビザの滞在期間の延長と、彼らが安全な国へ移住するための支援に関する小辻氏の貢献について講演しました。
また、山田氏は、当地のペパーダイン大学在籍中に、小辻氏自伝『東京からエルサレムへ』と出会って以後、小辻氏のユダヤ難民救済について探求するうちに、小辻氏と交流のあったラビ・マーヴィン・トケイヤーや、小辻氏の二人のご息女である小辻メリーさん、ジュリーさん姉妹と親しい関係を築くに至るまで、また、小辻氏を題材にしたご自身の著書の取材のため、イスラエルにある小辻氏の墓地や小辻氏が生涯親しくしたとされている教育機関ミヤ・ヤシ-バを訪問した際のエピソード等について講演しました。
さらに、本イベントでは、小辻氏のご長女であるメリー小辻さんからの感謝のメッセージが紹介されたほか、戦時中に日本に滞在したユダヤ難民の音楽家に敬意を表し、平田真希子博士によるピアノの演奏も披露されました。本イベントには、200名以上が参加しました。(了)