日系アメリカ人の食文化をたどる「A Taste of Home」シリーズの開催について

令和3年3月5日
全米日系人博物館は,当館の支援のもと,日系アメリカ人の食文化をたどる「A Taste of Home」シリーズを11月,12月,1月の3回にわたり開催しました。(開催日:(第1回目)2020年11月15日,(第2回目)同年12月18日,(第3回目)2021年1月17日)。

第1回目は,「日系アメリカの味の誕生(Building the Flavors of Japanese America)」のテーマで,食文化を専門の一つとするUCLAのヴァレリー・マツモト教授が、多様な文化的背景や第二次世界大戦中の強制収容の結果として生まれた日系アメリカ人のハイブリッドでユニークな食文化を紹介した講演のほか,同館のコレクション・マネジャーでキュレーターのクリステン・ハヤシ氏が,同館の所蔵品のなかから日系移民のピクニックや宴会風景の写真, 料理道具やレシピを紹介しました。また料理研究家のアズサ・オダ氏が日系人にとっての重要な食文化である「むすび」の料理デモを行いました。
 
当日の映像はここから:https://www.youtube.com/watch?v=kk-V1xdn-yU&t=68s
 
第2回目は,「Recipes for Celebration(お祝いのレシピ)」のテーマで,同館のキュレーターのエミリー・アンダーソン氏とともに, 餅つきなどの日系アメリカ人のお祝いの食文化がどのように変化し、また収容や戦後の生活の再建といった時代の変化の中でもどのように保たれてきたのかを探りました。
さらに, 同館のクリステン・ハヤシ氏が同館の収蔵品から本テーマに関連したものを披露するとともに, カリフォルニア州リビングストンのキシ一家の餅つきの伝統を撮影したショートドキュメンタリーを上映。続いて, アズサ・オダ氏が餅米から餅をつき、お雑煮の料理デモを行いました。また同館のボランティアの日系人の方々が, 日系人の中でも暮らす地域によって違いがある各家庭でのお祝いの伝統をオーラルヒストリーとして紹介しました。
 
当日の映像はここから:https://www.youtube.com/watch?v=VmekIdAr-lQ&t=1s
 
第3回目は,「日系アメリカでの外食(Dining Out in Japanese America)」と題し,リトルトーキョーのレストラン「Azay」のシェフであるアキラ・ヒロセ氏とジョアン・マエハラ氏夫妻,「n/naka」のニキ・ナカヤマシェフ, グラフィックノベル作家のサム・ナカヒラ氏を迎え,サミュエル・H・ヤマシタ教授の司会で,アメリカにおける日本食レストランの変遷についてパネルディスカッションを行いました。移民の心の故郷として懐かしい味を提供した初期から, アメリカの地で独自の進化を遂げ, 日本における日本食の変化も取り入れつつ、日本食やアメリカの食文化にも影響を及ぼした日系レストランの役割を各個人の思い出も共有しつつ, 時代を追って検証しました。
 
当日の映像はここから:https://www.youtube.com/watch?v=x0ggo7_Ejnk
 
視聴者からは,「もっとこのシリーズが見たい」といった声や, 取り上げてほしいテーマの要望が寄せられるなど, 日系アメリカ人コミュニティを中心に大きな注目が集まったシリーズでした。