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伊原純一総領事からの挨拶
  (2009年5月11日掲載)

 

再びジャカランダの花の季節を迎え、当地に来て1年が過ぎたことを実感しています。この間の皆様の温かいご支援とご協力に改めて感謝いたします。

 家の近くを散歩して、いつも感じるのは、ロサンゼルスの住宅街の木々や草花の種類の豊富さです。ここには世界の各地から、人間だけでなくたくさんの植物も移り住んで、驚くべき種の多様性を示しています。いかにも日本的な南天(heavenly bamboo)の傍にストレチア(bird of paradise)の豪華な花。名前のわからないサボテンが不思議な花をつけているかと思うと、にぎやかに咲くブーゲンビリアに可憐なアイリス。生垣に絡まったノウゼンカズラ(trumpet vine)のラッパ状の赤い花と美しいコントラストを示す白いジャスミンが強い香りを放ち、目を少し上に向けるとなぜかそこに朝顔が年中咲いています。街路樹も、いかにもLAらしい背の高い椰子の木に、若い葉が繁りはじめた北米原産のスズカケノキ(sycamore)、日本でもおなじみの常緑樹の楠(camphor tree)やインド原産のベンジャミン、白い大きな花が見事なタイサンボク(southern magnolia)、木肌の美しい楡などなど。そしてもちろんジャカランダ。十分な水さえ与えれば、ここは植物にとっても天国のようなところなのでしょう。

 年間を通じてほとんど雨らしい雨の降らないロサンゼルスは、20世紀初頭には人口10万の小都市だったそうです。この町が発展できたのは、1910年代にシエラネバダから延々233マイルの水路を建設し、北カリフォルニアからの水の供給を確保できたからだと、LADWP(ロサンゼルス水道電力局)のウェブサイトは解説しています。多くの米国の都市と同様、ここも20世紀の米国の偉大なシビルエンジニアリングにより作り上げられたのです。そして1920年代の終わりまでにはすでに現在の美しい市長舎や、公邸のあるハンコックパークなどが住宅街として整備され、米国を代表する都市としての姿が整えられます。

 ダウンタウンのAT&Tビルの最上階から街を見渡すと、驚異的な発展を遂げてきたこの街が、今また大きく変化しつつある様子がよくわかります。倉庫や中小の工場群がロフトなどのマンションに変わり、古いビルが「グリーン」なオフィスとして改造され、公共交通網の見直しが進んでいます。車に極度に依存し、郊外に果てしなく広がった街が、どのように求心力を取り戻し、どれだけ人と環境にやさしい街に生まれ変われるのか。そしてその過程において、日本や日本の企業がどのように関与していけるのか、また、リトル・トーキョーはどのようなモデルを提供できるのか。街を眺めていると、そういった諸々の疑問や課題が浮かんできます。総領事館として、こういった問題にどのように取り組んでいくのかは、難しいところですが、この街に愛着を感じる個人として、これからもよくフォローしていきたいと思います。


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